2次元フーリエ変換とフーリエ逆変換
高速フーリエ変換はきわめて重要な処理ですが、あくまでアルゴリズム上の問題であり、処理結果は離散フーリエ変換と同じです。
したがってこの章では離散フーリエ変換に関してさらに考察を進めます。
19章で考えた離散フーリエ変換は、1次元の信号(走査線をデジタル化したようなもの)に対する処理でした。
その信号波形の中の周波数成分を抽出するという意味を持ちます。
一方2次元の画像に対しては、2次元フーリエ変換を行うことができます。
離散の場合でいえば、たとえば各ラインごとに横方向に離散フーリエ変換し、その結果をラインごとに並べ、今度は縦方向に切り出して離散フーリエ変換を行うというものです。
これは縦横にそれぞれ規定された周波数の成分量を表わします。
原理的には3次元以上のデータ列に対し、その次元分だけのフーリエ変換もあります。
次に離散フーリエ変換の定義の中で、iを-iで置き換えると、離散フーリエ逆変換となります。
ある1次元信号列を離散フーリエ変換し、さらに逆変換すると、全体に定数倍がなされてしまうことを無視すれば、元の信号列に戻ります。
だからこそ逆変換というわけです。
世の中によくあるなめらかな信号列を離散フーリエ変換した結果、非常に高周波な成分はきわめて小さな値となるのが普通です。
そういった小さな成分をカットしてから逆変換た場合でも、ほぼ元の画像に近いものが復元されます。
これは高周波成分カットによる情報量圧縮の理論的背景になります。
ちなみにある1次元信号を離散フーリエ変換し、さらにその結果を(逆変換でなく)もう一度離散フーリエ変換すると、これも定数倍を無視すれば、元の信号を定義域内で反転させた信号になります。
すなわち走査線でいえば左右を反転した信号列ということです。
ある1次元信号を離散フーリエ変換し、その虚数部分を強制的にゼロにして逆変換すると、元の信号と、それを定義域内で反転させた信号を重ね合わせたような信号が得られます。


